ヨコノリ

不動産業界の歩き方

新築ワンルームマンション投資のメリット

新築ワンルームマンションは利回りが低くはっきり言って儲からないということはお伝えしました。それでは一体なぜ新築ワンルームマンションを買う人が後を絶たないのでしょうか。新築ワンルームマンションの開発業者は依然として業績好調であり、作れば売れる状態が継続しています。
ここでは新築ワンルームマンション投資を始める人の動機を解説していきたいと思います。
 
新築ワンルームマンション投資を販売するにあたり3つの殺し文句があり、それらは過去40年以上に渡り変化しておりません。

 

①保険替わりになります。
②年金替わりになります。
③節税になります。
 
ひとつづつ解説します。
 
①保険替わりになります。
 
新築ワンルームマンションを購入すると団体信用生命保険という保険に加入することになります。これは通常の住宅ローンでも適用されているものでありますが、簡単に言えば借りた人が死亡したらその借り入れがゼロになる、というものです。
これにより、「一家の担い手であるご主人に万が一のことがあっても残された家族に都心のマンションが残りますのでご家族のことを考えても今購入したほうが良いですよ!」というセールストークが発生するわけです。
このセールストークは40年前から存在しております。(間違ったことを言っているわけではありません)
 
また、死亡以外にも高度障害になった場合にも適用されることがあります。
 
高度障害の定義は下記の通り(公益財団法人 生命保険文化センターHPより抜粋)
 
両眼の視力を全く永久に失ったもの
言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
1上肢を手関節以上で失い、かつ、
1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
1上肢の用を全く永久に失い、かつ、
1下肢を足関節以上で失ったもの

 

 
 
②年金替わりになります。
 
これも昔からある殺し文句ですが、特にここ最近ではより威力のあるセールストークとなってきています。
やはり年金受給年齢が引き上げられ、更に引き上げられる可能性がある時代となってきておりますので今の若い世代は年金自体に期待を持てないのも仕方ありません。しかし退職後のことを考えたときに年金の替わりになるものを潜在的に探し求めているわけなのでこのセールストークは殺し文句として絶大な力を発揮するわけです。
最近は25歳くらいの若い人も新築ワンルームマンションを購入していたりしますが、彼らは35年後のローン完済後の60歳の時の安心材料のひとつとして新築ワンルームマンションを買うという行動を取るわけです。
 
 
③節税になります。
 
これは年収が1000万円やそれ以上の所得層の人に響く殺し文句です。所得税は累進課税となっておりますので給与所得が増えるほど支払う税金が高いのが日本の税制です。その中で新築ワンルームマンションを購入すると、建物や設備部分の減価償却が経費計上することが出来ますので
購入後3年程度は比較的節税効果が高いといえます。
 
マンションですので建物と土地に分けられますが、土地の持ち分が少ないため大部分を建物とみてそのうちの3割程度を設備と見なします。
居住用の建物は47年という法定耐用年数となっており、設備は15年が法定耐用年数です。建物は定額で償却していきますが設備は定率償却が可能ですので当初3年程度は大きな節税効果を狙うことが可能といえます。
 
 
これら3つの目的は良い側面もあり、微妙な側面もあります。
それらをひとつづつ潰していきますと、
 
①保険替わりであれば生命保険に入ればよいのです。わざわざリスクのある不動産投資で保険にする必要はないかもしれません。
 
②年金替わりというのも、年金がゼロになることは考えにくいことと、そもそもローン完済までにいくらのキャッシュフローマイナスによる持ち出しが発生するのかをよく考えれば答えは明確になることでしょう。
 
③節税対策になります、これもしっかりとシミュレーションすれば当初3年程度の節税によるプラスとその後の運営によるマイナスを比較して考えればよいだけの話なのです。
 
 
要するに良いところを半ば強引にフォーカスしてそこをグイグイ押して販売する、というスタンスはこの40年間全く変わっていないということが理解できたかと思います。